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2005年4月30日 (土)

語られない作曲家その1、ロルフ・ケントについて

おそらく映画音楽作曲家にも、人気というものがあって、特に、他の様々な映画音楽ファン/映画ファンのサイトでしばしば話題に上がる作曲家から、作品数は多いのに、ほとんど語られない人もいる。わたし的には、どうしても後者が気になるので、後者サイドをよく聴くようになってしまう。そんな作曲家の話も時に書くようにしたいが、今回は、ロルフ・ケント。『サイドウェイ』の人である。今年のアカデミー賞は、あの人も、語られない一人ではあったので、これでスポットがあたってうれしかったヤン・A・P・カツマレクがとったので、悪くはないんですけれど(ここで、いい悪いいったって、何の影響力もないけれど)、惜しいのは、ケント氏の前作の『アバウト・シュミット』で、強力によいスコアだったのに、ノミネートすらされなかった。・・・なかなか語られない作曲家には共通点があって、そのひとつ、人間ドラマものがほとんどである、というのがケント・サウンドをじっくり聞こうと思われないことだろう。『サイドウェイ』はジャズ・スコアで、リラックスしてダラダラ聴くには、すごく心地よい作品で、こんな世界が、モチーフはそれぞれ違えど、心優しくていい感じのケント・サウンドである。ジャズといえば、クリストファー・ヤングの『ラウンダーズ』『ノーマ・ジーンとマリリン』は激しく傑作と思うが、「なんちゃってジャズを聴くぐらいなら、ちゃんとしたジャズを聴く」という話になるらしく、じゃあ、菅野よう子『カウボーイ・ビバップ』に観る「なんちゃってジャズの、本物ジャズにはない楽しさ」は、それも魅力じゃないか、と思ってしまう。炎のスコア!!!を書く方よりは、ひっそりと活動する感じになってしまうが、そんなロルフ・ケントの次回作は、私は楽しみです。いずれ、ポスト、デイヴ・グルーシンぐらい行く人だと思うのですが。

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2005年4月29日 (金)

バッド・アス

オリジナルタイトルからすると、『バッダース』という感じと思いますが、『バッド・アス』拝見。この映画のもともとネタであるところの、マリオの親父さんメルヴィン・ヴァン・ピーブルスの『スウィート・スウィート・バック』を観ていないため、観ている人なら「オオッ」と思うところが、観ていないため「オオッ」と思えないところが悔しい。しかし、この映画いわく、「骨太だけれども、金になる映画」をメルヴィンは目指したといい、しかも、そのメイキングの実録を「骨太だけれど、娯楽映画」にしているのが泣かせる。しかも、「骨太だけれど、娯楽映画」の巨匠マイケル・マンがプロデューサーに!!!相通ずるんでしょうねぇ。音楽はタイラー・ベイツ、『追撃者』の仕事が意外に評価されていない感じの人ですが、そのオヤジさんの方の映画を観ていないため、かっちょいい音楽が流れていても、これはベイツのものか、スウィート・スウィート・バックからの引用かがわからない。うーん、不勉強なものなので、ところどころ、自分でも、どういえばいいかわからなくなる。・・・・調べとこう。

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2005年4月27日 (水)

ザ・インタープリターとチーム・アメリカ

本日は、2本鑑賞。何といっても『ザ・インタープリター』!! なんとなく、もすごくよくできた映画の香りがしていて期待してみましたが、それを上回る出来!!! 何しろ、脚本がかっこよすぎる!!事件が展開していくきっかけや、謎が解明されていく警察小説的な緻密さから、見るものを飽きさせない凝ったカメラワークから、とにかく、必要な説明を全てセリフではなく、編集や間のとり方で見せる!!という、ものすごい離れ業をやりまくっている。もちろん、それを可能にするためにニコール・キッドマン、ショーン・ペンの驚異的な演技もあるのでしょう。とにかく、大人のための一級サスペンスでしょうが、こういったいいサスペンスを例えば中学生の時当たりに見れば、真の?映画ファンになってくれるのでしょう、なんて、・・・(自分にとっては、中学生時に見た『カサンドラ・クロス』の)コスマトス監督が亡くなった今、考えたりします。『インタープリター』、ジェームス・ニュートン・ハワードの音楽は、フルートの鳴らし方、サスペンス・シーンのアレンジがゴールドスミスを思わせ、「おお、この作品、ジェリーさんが音楽をやっていたらなぁ」と感慨深くさせるものでした。

さて、そしてトレイ・パーカーの『チーム・アメリカ』!! 多くの映画ファンは、ピーター・ジャクソンの『ミート・ザ・フィーブル』を思い出すが、お下劣さや、ヒートアップ度は似ていながら、パーカーのものの方が意外にカラッとしている。パペット版ブラッカイマー映画、と自身でもいっているように、まさにそのままで、パペットものなのに、やたらに爆発するし、パニック・シーンもありまくり、ただ、そのシーン、展開のほとんどが、これを実写でやれば、マジに見てしまうのかな、と思えるところ。なんか、ついつい、マジに進めてしまい、これではいかんいかんと、お下劣ボルテージを上げる感じです。音楽のハリー・グレッグソン・ウィリアムスも、起用そのものがギャグでしょう。彼自身は、いつものブラッカイマー・アクション用の音楽を作ればよし、な感じで。・・・・歌が、ほとんどトレイ・パーカー作。途中で交代?となったマーク・シャイマンが絡む曲は数曲になっている。パーカーは、これまたブラッカイマー映画の主題歌のパロディをいわば連発。最終的には、パーカーらしい下品さを保ちつつ、テーマらしきものは、意外に社会派なちゃんと今風の普通のことをいっている暗喩。でも、まあ、あんなに派手にスケールの大きいことをしすぎるパペットものは前代未聞だから、それで十分。

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2005年4月26日 (火)

甘い人生

最近、マイ・ブームであるところの、「一度も降りたことのない駅で降りて、近くでメシを食う」の鶴見駅編!!を行う。駅ビルの最上階の魚系居酒屋で、夕方でも定食をやっており、そこでカジキマグロの照焼定食。おいしかったです。さて、それから、かのイ・ビョンホン様の『甘い人生』鑑賞。個人的に「実は、宣伝とは全然違う!」という映画が大好きな人間なので、そのうわさをこの映画で聞きつけ。いやあ、すごかった。『キル・ビル』や『オールド・ボーイ』を思い出さずにいられないウルトラ・バイオレンス!!! 途中から、もう、何がなんだかわからない(主人公たち自身「わからない」を連呼する!!)拷問/殺戮合戦と化す。『キル・ビル』のパンフレットで蓮実重彦氏がタランティーノ映画における、死までのタイミングの引き伸ばしの楽しみを語っているが、まさに今回の映画も、殺す方も、殺される方も、殺される、という行為を儀式のようにポーズを作って行っていく。しかし、ものすごい血みどろの形相なので、それを美しいと思うのは、そのジャンルに見慣れているファンに限定されるとは思うが。それにしても、これはバイオレンス映画ファン必見作でした。・・・・という文章を、羽田健太郎音楽の81年のアニメ『夏への扉』のサントラを聴きながら書いている。80年代の前半って、カラベリの全曲カラベリ・オリジナルの、すごいいいイージーリスニング・アルバムがありまして、ほかに、クロード・チアリにも全曲、そのアルバムのための新曲という「ニースの休日」という、ともに確か日本企画のアルバムがあり、共に未CD化なのですが、それらの名盤を思わせる、ロマンティックでメランコリックなストリングス・イージーリスニングなのでした。

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エレメンタル・ジェレイド

初めて、アニメ音楽について。梶浦由記の『エレメンタル・ジェレイド』。いいですねぇ。こういったサントラを、アニメ本体を見ていないのに手をつけてしまう人間は、まだ数少ないとは思いますが、日本の作曲家シーンでは、一番、面白いことを自由にできる世界は、アニメ・サントラなのではないか、と思ってます。何せ、盤もまず絶対でるし。アニメ音楽に興味が移行して行ったきっかけを作ったのが、梶浦さんの音楽で、『ノワール』。普通のスコアものなのに、やたら話題になっていたので、これは、と思い、聴いてからズブズブと。梶浦ワールドは、今まで、ケルト音楽っぽいクセのある美しさのメロディが特徴的だったのですが、今回は、何しろストリングス大量導入で、まろやかなストリングスの中で、少しクセを落としたメロディを聴かせる。ストリングスが篠崎正嗣氏のストリングス!!!!! 篠崎さんといえば、私的に大傑作な『蛍川』!!DVDは、なんと出るようですが、サントラも復刻しないかな、なんて、まず売れないのだろうなぁ。そしてフルートに赤木りえさんも参加。アクション・シーンの音楽で、バカテク・フルート?を吹かせたりしている。すごいアレンジだ。・・・しかし、アニメ・サントラは、本当、ジャケット見て、ひるむでしょ。『エレメンタル・ジェレイド』も、初心者?はひるみそうなジャケットです。でも、素直に「かっこいいジャケットかも」と思ってしまうようになった私は、すでにそっちの世界の住人でもあるのかも(いや、世界がそういう偏見をなくせばいいのです)。

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2005年4月24日 (日)

イタリア映画祭

毎年、東京で、ゴールデンウィークに行われているイタリア映画祭。仕事柄、絶対、ゴールデンウィークなんて休みが取れないため、そのほとんど、特に目玉作品はまずもって見ることができないのが、毎年残念。今年は、なんとエットーレ・スコラの「GENTE DI ROMA」(これは、日本上映はまずないとあきらめてました)が上映される!!! 軽やかな、ちょっとフュージョンっぽい香りもするトロバヨーリのジャズ・サントラも、またたまらなかった、この映画!!! 心地よいに決まっているのですが、・・・・またしても、見れないスケジュール!!!

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ミシェル・コロンビエ

フランスのミュージシャンで、自分が、生まれて初めて聴いたのは、誰だろう、と考えて、やはりそれは疑いなくポール・モーリアなわけで、ライブ(コンサート)にいったことのあるフランスのアーティストも、モーリア、アンテナ(この人はベルギーか)、レ・ネグレス・ヴェルト、マノ・ネグラ・・・そんなところか。最近、そういえば、ライブに行かなくなってしまったなぁ。・・・もう、ライブを見ることはできなくなったひとりのミシェル・コロンビエの音楽を初めて聴いたのは、多分「相続人」あたりで、しかも、個人的には、セルジュ・ゲンズブールって、全くストライクゾーンではなかったため、かなり後になってから、知識として知っていった感じである。で、コロンビエの『カポ・ポワンチュ』を聴きながら、書いていますが、超オシャレですね。フレンチ・ポップというよりも、フレンチ・フュージョンに歌がのった感じですね。フレンチ・フュージョンといえば、ジャン・リュック・ポンティのエレクトリック・バイオリンとかそういうイメージだったので、かなり新鮮・・・・という感想は、すでに10年前ぐらいに一回感じているはずなのですが、再度感じています。これって「おじいちゃん、朝ごはんはさっき食べたでしょ」の感じと同じ? ・・・それにしても、ほかにも、おしゃれな60年代フレンチ、今さらながらにいろいろ聴きたいが、すでに部屋はCD/LPで占領されて、もう新しいジャンルに手をつけるのは、かなり危険。様子を見ることにします。

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2005年4月23日 (土)

アレッサンドローニ

アレッサンドロ・アレッサンドローニを迎えて、ドイツのDJが作り上げたアルバム『ALESSANDRONI+PAUL+HONESTY』を聴く。すごく一言で言えば、かなり、昔懐かしいアシッドジャズという気がする。ブラン・ニュー・へヴィーズや、初期トーキン・ラウンド・レーベルの香りであります。考えてみれば、以外に合いいることはなかったのだけれども、イタリアン・サントラがDJたちにもてはやされ始めた頃と、アシッドジャズ全盛期は、時期的に近い。ただ、サントラ好きは、カミンスキーに代表されるラウンジの方に偏ってしまった。そのイメージでの甘さは、今回の盤にはなく、本当に心地よい、気分としてのグルーヴである。なお、すごいのは、客演ではなく、ちゃんと作曲を共作していること。なので、アレッサンドローニ節的なメロディも、聴けばちゃんとある。こういったスタンスは、この人だったから、可能だったのだろう。でも、チプリアーニ大先生なども、ラブコールをしっかりしたら、共作とかいう話も可能性アリなのかもしれない。なんて。

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2005年4月22日 (金)

大阪万博

『日本万国博』奇跡のDVD化ということで、ビデオを見る。というか、見ている。3時間近くある映画ですが、何しろ、一気に見ると勿体無い(こんな気分で一本の映画を観ることは、おそらく今後もない)ので、ほぼ1週間ぐらいに分けて見た感じ。開会式に30分ぐらい使っているのが勿体無い??が、おそらく映画となると、やはり人間中心だろうから、仕方ないのでしょうが、中には、超メジャー館なのに、展示を紹介せずに終わるところも少なくない。権利的なものだったりしたのだろうか。また、万博の、とにかく大混雑だったことが、大きく取材されている。確かに、すごい行列だった、というのは万博の印象としてあり、それがひとつのトピックスだった、ということはあるのですが。9月には、86万人!!!の入場者が1日であった、ということも記録される。パビリオンの力の入れようが、愛知万博とは遥かに違う。いや、あれは満員になるわ。そう思いました。しかし、1日で86万人ってなんや。ありえない!!

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2005年4月20日 (水)

逆境ナインとやさしくキスをして

本日は2本拝見。邦画『逆境ナイン』は、やはり過去のアストロ球団から少林サッカー、地獄甲子園などを思い出さずにいられませんが、もともとは普通の人間が逆境で急に強くなる、という設定は、どうもやはり、根底に「帰ってきたウルトラマン」があるのではないか、と思います。何もないことをド派手に演出するのが好きな"ロボット"の製作にして、ようやく、その演出方法がピッタリくるものがきた感じ。音楽の佐藤直紀の燃えるスコアも、この人の炎は、つまりは劇画的ギャグなのだ、ということで、最もひねらずにストレートに使われた、という感じ。

もうひとつのケン・ローチの『やさしくキスをして』は、ローチならではの社会派というよりも、ローチ映画の中で最もエロい作品ではないか、というところが気になりました。どうもエロティックなラブ・ストーリーの方が主軸で、社会背景の厳しさは、かなりまろやかに処理されて、深刻さをさほど帯びない。というか、主人公たちが、精神的に乗り越えるというところが、なかなか今までの中では新しい。本当は、アンチハッピーエンドにも見えるのですが、ハッピーエンドに見せている。そんな感じです。サントラ、ジョージ・フェントンのデボネア・レーベルで出ているのですね。調べないと。

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2005年4月19日 (火)

新作2本

『0:34』という邦題のホラー映画と、『皇帝ペンギン』フランス製ドキュメンタリーを見ました。

さまざまな新感覚??ホラーが、オリジナル・タイトルとまったく違う邦題がついて公開されるのは、今の流行ですが、まず、人間の死によって成立しているホラーは、個人的に全く興味がありません。なので、そのほとんどは、ホラーという部分よりも、無名の作家による新しい映画がどういった文体で作られているか、といったところのみに興味がいきます。

この、オリジナル・タイトル「CREEP」は、全編を地下のチェイスで構成する、というところがミソのようで、物語そのものに新味があるかといえば、それはないけれど、特殊なロケーションからの脱出劇として見ると、その撮り方に特殊性は見れるように思います。地下といえば、『ミミック』や『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を思い出しますが・・

『皇帝ペンギン』は、エミリー・シモンによるサウンドトラックを先に聴いていたので、もっと孤独にひっそりとしたものかと思ってました。意外にも、暗い面については、サラっとすませてしまい、子ペンギンに視点を集中させるところが、作り手自体が、多くの観客に受け入れられる映画を念頭に入れているのだな、と思わせます。むしろ、シモンの世界の方が、映画から浮いているのかもしれませんが、普通の情景音楽をあててしまうよりは、ずっと話題性にも富んでいていいでしょう。普通だったら、ブリュノ・クーレが担当するであろう題材ですが、そうすると、音楽面に関しての話題性はおそらくなくなってしまうし・・・

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まずは。

 なかなか、僕自身が書こうとしている話題を、すでに書いてらっしゃるページなどがなかったために、ようやく、自分で書いてみることにしました。とりあえず、ここで、今後、キーワードとなりそうなものを列挙しますと、まずは映画音楽(サウンドトラック)、中でも、あまり、語られない、トーマス・ニューマン、カーター・バーウェル、クリフ・マルチネスなどの、空気感系?な人たちの作品、菅野よう子、川井憲次、梶浦由記、光宗信吉などのアニメーションを周辺とする音楽、アンドレア・グエッラ、ルドヴィコ・エイナウディほかのイタリアン・サウンドトラック・ニューウェーヴ、そして、それらの雰囲気と同じくする映画であったり、文学であったり、といったところでしょうか。

 まずは、最近、試写で見た『ミリオンダラー・ベイビー』の音楽の話を。音楽(というか、メイン・メロディの作曲)はクリント・イーストウッド本人ですが、いぶし銀のような演出でありながら、決して凝ったものではないその作り方の中で、音楽の使い方という点では、ものすごくピュア、ここで、感動させたい、という一点で、メインメロディを静かに流す。ほとんど、それ以上のことを一切しない、あまりにも原点のような流し方は、映画を観た人間が、そのメインメロディとともに、感動を思い起こせる、古きよき?時代の映画作法をかなり思い起こさせます。とはいえ、イーストウッドの作品は、ストイックなため、一見、その対極にあるように聴こえますが。

 

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