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2006年3月21日 (火)

石油版

久々に映画の話題で、『シリアナ』です。見る前は、やっぱりコスタ・ガブラスのメッセージ性過激性バリバリだった頃の『戒厳令』であるとか『Z』といったものが頭の中のイメージとしてあったんですが、見ると、石油版『トラフィック』といった方が、より容易で乱暴な印象かな、と。おそらく、この題材でのトラフィックとの違いは、トラフィックが、どういった形にせよ、様々に取り上げられてきた題材としての「麻薬」が、見るものになんなく拒否反応を与えず、今回の場合の「石油」が、「陰謀や、さまざまな黒い影がないことはないのだろうけれど、日ごろから意識したことはない、ので、どういうことになっているのか、さっぱりわからない」感じなのだろうと思う。印象としては、世界規模の松本清張で、「黒い砂漠」とでも、題しましょうか。さて、これがリアルなのかどうかさえ、判別がつかない、このタッチ。あまりにもドラマの起伏感をあえて喪失させ、どこが山場なのかに気づかなかったりする。軸としては、クルーニーとデイモンがそれぞれ演じる男2人が、ドラマの始めには予想もつかない物事に巻き込まれてしまっている、ということがある。報道という面が(これもおそらく意識して)描かれないが、つまりは、このドラマの中で語られるものは、すべてが「絶対に語られることはない」部分のものである。ちょうどNHKが大討論会(過去に討論されつくした議題を、録画放映しているかのごとく、また一から行っている)をしていて、そこでもほとんど触れられていないが、「どう報道するか」ではなく「何を報道するか」で報道をとりまく世界情勢はコントロールされるわけで、つまり「何が報道されなかったのか」これが、本当は語られるべき部分なのであろう。そして、語らない、語れない理由はそれぞれ真剣なものから、いい加減なものまであるでしょう、が『シリアナ』は、語「れ」ないものの話を「なぜ、語れなかったのか、語れなくしたのか」の理由を説いていく。現場のシリアスさは、周囲の比ではなく、ほかのものが見えなくなってさえしまうぐらいの緊張感であることが伝わってくる。・・・しかし、前から思いますが、ジェフリー・ライトって名優ですねぇ。ジアマッティと同じぐらいわたしは好きです。

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» 「シリアナ」 [ゆうなんハイツ]
いや〜重い。{/ase/}分かっちゃいたけど、重い。 体調の優れた状態でないと厳しいですかね(^_^;)。 言われて気が付きましたが、タイトルが「尻穴」って。 あすほーるですか!(爆) 政治的な話、中東問題に興味のある方にはいいかもしれません。 しかし、多少世界情勢が頭に入っていないと(特に中東関係)、 観客は全く置いてけぼりをくらってしまいます。 これほど置いてけぼりくらった�... [続きを読む]

受信: 2006年3月23日 (木) 22時48分

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