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2007年3月 8日 (木)

ユートピア

改編シーズンだから、お気に入りの番組もガンガン終わる。そして、4月からは、逆に注目アニメが数え切れないほど控えているので、それはそれでうれしいのですが、NHK『ドキュメント72時間』は終わる。このシリーズがレギュラー化する前にも、一点にカメラを据える企画は、渋谷駅のコインロッカーのエピソードなどがあったが、確かに、最近の回は、一点にカメラを据えてはいなかったので、ちょっと趣旨がずれてきているのでは、と思わざるを得なかった。一点にカメラを据えていると、興味深い人物にも出会うであろうが、その人物を追いかけるだけになってしまうと、その人物のドキュメントになってしまう。その地点は、ほかにどんなことが起きているのかがわからなくなってしまう。カメラを据え続けて、1エピソードとして紹介しうるデータとしての面白さにならなかったということだろうか。何も、感動的なドラマを血眼になって探さなくてもいいのに。

 さて、ダニー・ボイルとアレックス・ガーランドが今度は宇宙SFを題材にした『サンシャイン2057』。原題はSUNSHINEのみで、まさに、サンシャインについてがんばるSF。ボイルとガーランドという、映画・物語・音楽いずれものオタクな香りを放つ彼らならではのものを期待し、その通り。予想通り、ストーリーというよりもビジュアル重視で、かつ、「ユートピア探し」たるボイル映画のテーマ(と思っている)に沿ったもの。今回は、「よい人生かどうかのものさしは、死に際にオレの人生はよかったと思えるかどうか」というひとつの指針はよくあるが、あれです。この映画の主人公たちは、映画の初番でもう、自分の死を大方覚悟している。ほかの映画よりも、すごく自然に覚悟している。そして、いわば「自分にとって最も納得のいく死に方」を選んでいくのだと思われる。この映画の描く死には、恐怖よりも大きい意味を持つ価値があるという前提がある。これは、ユートピア探しの極限だろうし、さあ、ここからどの宗教に行くか、その分岐点、みたいなギリギリのテーマでもあろうと思う。傑作です。

 そして『ボルベール』。アルモドバルの新作。自分は、アルモドバル映画になかなかついていけないのですが、今回は、肩の力を抜いてみてましたが、楽しみました。アルモドバル映画って、男ばかり出てくるか、女ばかり出てくるか(女ばかり、という場合が多いが)で、今回も、女ばかり。基本的には、この彼女たちの会話のみで成立していく物語。そういえば、この監督の映画は、ほとんどは会話のみで成立している。そこに赤を基調とした原色の多い画面。そして、ほとんどミステリーといえる前設定がある。しかも、そのミステリー的設定が重要ではないところがすごい。すごい事件も起こっているのに、親子の再会が重要なテーマになっている。このポリシーはユニークだと思う。

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