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2008年7月16日 (水)

314号線

7月10日。木曜日。第二木曜日。これにはじめ、気づいてませんでした。当初、ゆっくり備後落合14時10分に間に合えば、と思っていて、時刻表をよく見ると「第二木曜は運休」。その前は、なんと9時30分備後落合まで、さかのぼる。しかも、この列車も木次線の終点宍道まで行くのではなく、途中、出雲横田、つまり亀嵩のひとつ手前の駅までで、出雲横田から宍道までの列車が、16時6分までない。つまり、出雲横田で5時間30分待つ。本格的な出雲横田観光が出来てしまう。しかし、この方法しかない。しかも、この備後落合に9時30分にいきつくための列車が、これがなんと5時18分新見発1本しかないのである。ということで、4時30分に起きることに。ホテルでチェックイン時にその旨を伝えると「玄関のカギは開けておきますから、部屋のカギはフロントに置いて、お帰りください」とのこと。で、朝は、前日に買ってあったジャムパン、ご当地牛乳と、昨夜の買出しの残りを食べて、出発。朝まだ暗い新見駅。駅務室もまだ開いていない。1両のディーゼルには、結局自分ひとりしか乗客はなく、走り出す。もう、この芸備線がすでに森の中をかき分けるような車窓で、山と緑しかない、ものすごい景観が普通に続いていく。途中で、ようやくビジネスマン風、学生さんなども乗ってくる。そして、備後落合6時36分。ここで降りた乗客はほかに2人いたと思いますが、彼らには、到着を待っていたクルマがそれぞれあったようで、彼らを乗せて、駅を去っていく。ちょうどこの頃、ほかにも、3,4台同じようにクルマが、この駅を6時46分に出る三次行の乗客となる家族?たちを乗せて到着してくる。それらが去って、後はものすごい静寂。ほとんど秘境駅の静寂の長時間は以前、夜明駅で経験しているが、今回のは長丁場。何しろ、次に乗る列車は9時30分発。ほとんど3時間。散策を始める。後に、駅で業務する人たちの生活のための家とか店とかの廃屋を見つつ、舗装された道路(183号線)に出る。簡易郵便局とされた家あたりの前の自動販売機だけはちゃんと動いているのを確かめて、コカコーラを買う。しばらく、東側に歩いてみるが、これは何時間歩いても、周りは山しかなさそうと見切りをつけ、駅に戻る。まだ7時。もちろん、9時30分まで、次の列車がないわけで、ということは、まず、他の人間が来る可能性はない。ということで、駅のベンチで横になって、本格的な駅寝をすることにする。回りは、鳥のさえずりと、時折聴こえるクルマの音(183号線の)と、多分緑のざわざわという音と、そういった音しか聴こえない。この1時間30分ちょっとを楽しむ。というのも、9時すぎからは、誰か来るかもしれないので、ちょっとそわそわしていたのですが、8時30分頃についた、三次行のディーゼルの運転手(顔はあわせていない。駅舎には来られませんでした)がいるのみ。そして、9時20分頃、出雲横田行が到着。乗ろうとすると、「どこまで行かれるの?」と運転手氏。駅名とっさに忘れて、最後まで、というと「途中までしかいかないよ」「ええ、知ってます」。ということで、ここも、初めからは、自分以外乗客はなし。ワンマンなので、車内放送のテープの点検をしばらくされている。この木次線は、すごいところを100%通る路線で、駅のあるところこそ、ちゃんと集落があるものの、その駅間がすごい。そして、川に沿って走るので、この山と川(西城川)に挟まれた景観を走る。昔、記念切手で見たことのある名前の国定公園の名前の札がところどころにある。景観がいいはずである。かつ、川の水も澄んでいる。そして、これは後でしらべてわかったのだが、314号線って、本当に木次線にぴタッとくっついて作られているのですね。そして、三井野原からスイッチバックの出雲坂根。乗っている間は、どういうルートを通っているのかわかりかねるのですが、地図を見ると、これまた驚愕のルートである。そして、出雲横田10時23分。途中で、乗客も、3人ほど増え、彼らも、出雲横田まで。さて、この出雲横田が、開けていた。ちょっと、西側の三江線の石見川本を思い出した。ここも大掛かりな近代的街づくりとかがあったのだろうか。駅前すぐに小学校がある。駅前に喫茶店もソバ屋もある。ちょっと歩くと、コンビニもある。とにかく、観光的景観を意識された感じの情緒ある建物が多い。しかし、朝から、かんかん照りで、暑い。コンビニで島根県地図をしげしげと。実は、5時間30分も待つのだから、それならひと駅先の亀嵩まで歩こう、なんて考えていたのだ。地図を見る限りでは、すごい道のりには思わなかった。さすがに長くても、1時間も歩けばつくだろう、と思っていた。駅としての今日の主目的は亀嵩だったからだ。出雲横田よりも、亀嵩で、より時間を楽しもうと思っていた。しばらく、歩き始める。11時ちょっと前ぐらいから。炎天下。12時前ぐらいまで歩いて、なんか大きな道と交差するところで、右に曲がればいい、と思っていたのが、この314号線歩くも、全然、その交差する道が出てこない。周りは、これまた時々人家、セメント会社?、など涼をとれるところなんて、全くなく、しかも、トラックなどがブンブン通っていく、とても、普通、人が歩行すべき道ではないのだ。それはわかっている。わかっているが・・・・頭が暑くなって来て、時々、髪の毛をバサバサとやって、暑さを逃す。フラフラ来たら終わりなので、そうなるまでに・・・。そして、全く分岐点が見えず、不安になってくる。あまりにも方向音痴なのは自身自覚しているので、もし、これで、道間違っていたら大変である。マジで帰れない。そうよりは、この今までせっかく歩いた1時間分の距離を戻って、横田でおとなしく待った方が確実だ。ということで、1時間かけて、戻った。13時30分すぎ。しばらく、駅のベンチでじっとするも、ここも暑いので、先に確認していた手打ちそば屋に入ることにする。ざるそばの大盛り。わんこそばを頼むのが普通の店のようなのだが、どうしても、店の看板メニュー以外を頼んでしまう。ちょっと太めというかきしめんっぽい太さのそばを食べ、冷房入っているので極楽。この時間帯なので、はじめ自分しかいなかったのに、お客さんがいっぱいになってきて賑やかになってきたので(煙草吸う人もいそうだったので)店を出て、しばらく、石見川本よりは、街の広さは大きくない町並みをしばらく歩き、そしてCDショップ、本屋、スポーツ用品店が一緒になった店に入る。そして、なんと店の処分もののハコの中に「ベスト・オブ・ジャッキー・グラハム」東芝盤日本盤を発見する。ソウルやディスコなどを聴くことはフュージョンもののぞいてほぼ皆無の私ですが、このジャッキー・グラハムのブレイキン・アウェイだけは特別な思い入れがある。そして、思い入れがありつつ、しばらく、その曲名もわからなかった過去があったため、誰のなんという曲かがわかってからは、フェイバリットとなった(これは偶然後に曲名は知ったのだった)。そして、コミック好きのあんちゃんの客とイケメン・ドラマに詳しい店のおばちゃんとのコミック批評を聴きつつ、こんな山の中の町の書店としては驚くほど細かくそろっていたりする本をしばらくいろいろ読んで、時を過ごす。この先の旅のお供の本として、角田光代と岡崎武志の「古本道場」(ポプラ文庫)を買う。カバーをつけてもらうと、おっ、ちゃんとオリジナルのブックカバーで住所も印刷されている。学生で本の虫だった頃、この地方の書店のブックカバーを集めるのが趣味の一つだった。田舎の書店で、どこにでも売っている森村誠一の文庫などを買ったりした。そして、一旦えきに戻ってから、本屋とは逆の方向を歩いてみる。農協があるらしい。ということはAコープがあるか。あったあった。ここでも、ご当地牛乳と、ご当地醤油とソバを買う。とびうおのフライという、もしこのままホテルに行くだけだったら絶対買う総菜を恨めしく見つつ、炎天下に出てから、その牛乳(紙パック)を飲む。そうやって、しばらくしていて、16時6分。これだけ待ったのだが、乗る駅はひと駅。亀嵩までの間、数時間前に悪戦苦闘した道のりを思い出しつつ、これまた森の中をかきわける車窓を感じていると、やはり、自分が歩いた地点は、まだ全体の3分の1ぐらいだったのだと理解する。ということは、全部で20キロ弱は歩かなければいけなかったのか?と後で地図を見て愕然とする。それは無理だ、あの炎天下。そして16時15分亀嵩。ついに降り立った。大学で、卒論に清張文学を選んだクセにその時には来なかった(その頃から、ものすごいところだということはうすうすわかっていた。当時は、急行とかも通っていたはずだが)。その亀嵩のホームに自分が今いる、と思うとジーンと来た。そして、駅舎がそば屋さん、といううわさは本当か、と駅に降りると、これも本当だったので、また感動。静かに、その店の中に入って、しばらく、壁にかかっているさまざまな記念写真や、「砂の器」関係者ほかの著名人のサインや切抜きなどをしげしげ見ていると、店の人(若い方。30代後半?)が出てこられたので、「頼んでもいいですか」。何しろ、この午後5時前、という時間である。子供たちは、同じ店にアイスを買いに来ている。月見そばの定食の冷たいのを頼む。そばの上には海苔とネギとかつお?いりこ?ぶしがのっていて、小鉢は、大根とぜんまいとたけのこを煮たものを冷やしたもの、そしてさばの煮付け(これも冷やしてある)、そしてご飯。どれもうす味でおいしいのだが、このご飯が特においしい。10分もせず食べ終えてしまって、盆を下げにいって、しばらく(冷房がかかっているし、この雰囲気が好きだったので)いさせてもらうよう頼む。次って、18時1分。まだ、1時間ある。ということで、奥出雲の駅で、東京の古本屋についての文庫本を読んで過ごす。17時40分すぎに、店の人に挨拶して、再度、駅の周辺、ホームそのものをしばらく味わう。そして、やってきた列車は、横田から?の学生でいっぱいで、座ると車窓が見えないので、しばらくは立っていた。絶好地の席が空いたので、そこからは前方の車窓を。トンネルが多い。トンネルとトンネルの間には、町がある。19時12分宍道着。すぐに山陰線へ。19時21分松江着。ホテルに行くも、これまた夜の早い街で、20時で店が閉まってしまう。また、近くにコンビニを探す気力もなく(何せ、今日は、こんな一日だ)、ホテルにあるレストランでビーフカレーを頼んで(これが思ったより量が多くて苦しかったが、今夜は、この後、もう食べも飲みもしないので)、終了。明日は、山陰線乗り継いで、京都までのつもりなのですが、早めに起きよう、と6時目標で、寝る。

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