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2009年11月10日 (火)

赤い金魚は誰かが逃がしたのだろうか?

拝見した映画がたまってきてしまいましたので、まとめて4本。
まず『かいじゅうたちのいるところ』。絵本原作もののため、一見、ファミリーピクチャーですが、全く違う。少年の心理にリアルであろうとした、というこの作品。かいじゅうたちはかわいいが、決して、かわいいストーリーでも一見して教訓的なものでもない。自分が思い出したのは『マッドマックス2』ですが、ワイルドで自身も自分の心をコントロールできずに戸惑う少年の姿をそのままにカメラワークに表現するかのように、いい意味で脈絡がないように見える。が、これがリアルなのだろう。そしてスパイク・ジョーンズが監督したからゆえになせるワザなのが音楽で、カレン・オーが子供たちのコーラスをふんだんに入れて作った歌の部分は、物語と思い切りかぶり、子供たちのはしゃぎ声がいわばスコア的に使われている箇所がある。これは、劇伴というものに新しい何かを開くかもしれない。
そして『ウディ・アレンの夢と犯罪』。ようやく公開になる「CASSANDRA'S DREAM」である。珍しく男ふたりが主役のサスペンスだが、このユアン・マクレガーとコリン・ファレルそれぞれのステディとマクレガーがメロメロになる女優のこの女性3人がいかにもウディ・アレン映画的な女優。『マッチポイント』未見のため、あの作品とのテンポの同異性が不明ですが、コメディ然とした作品と違い、本作のテンポは若干じっくり(だが、他の監督作と比べると、やはり格段にセリフ数は多い)で、ストーリー自体には喜劇性は皆無なのだが、ところどころの間のとり方などで、クスリといった笑いを誘う。が決してコメディではない。『インテリア』あたりのアレン作品を見たくなる。
そしてそして『ルド・アンド・クルシ』。これは本日拝見。これが、プロットは非常に『ウディ・アレンの夢と犯罪』に似ている。が、お国柄と言うか、作り手の個性と言うか、全く両極端なアプローチの仕上がりになっているとでもいえますか。こちらの主人公の兄弟のやりとりのテンポ(特に前半)は、まるで香港映画的な心地良さで、かつ、インド娯楽映画を思わせる展開などにもなったりする。後半は、予想通り的な形に落ち着いて、娯楽色たっぷりの帰結ですが、この作品の妙は、前半と後半のテンポの使い分けでしょうか。そして、この作品は、役者の妙もあるが、とにかく隅々の配役への気配りがすごい。アルトマンやイニャリトゥのような集団映画的なおなか一杯さは感じないが、よく考えると、書き込まれている配役の数は膨大なのである。
そしてそしてそして片渕須直監督作の『マイマイ新子と千年の魔法』。児童映画の復活を目指して作ったというアニメーションだが、当初、当方が想像していたよりは複雑な作りになっている。新子の住む現在(1950年代)と新子たちが想像する1000年前の女の子の物語が、重なったり、交互に進行したりする。当方は片渕監督よりは4歳下、原作の高樹のぶ子氏とは18歳下ということになりますが、このアニメの中で描かれるディテールの「あ、それ、自分もやったやった」というものの、最終世代ではないか、とさえ思う。また、当初、いわゆる何も起こらない「雰囲気系」アニメと思っていたが、心を揺さぶる物語展開はある。劇伴にアカペラを使うと言うのは、先述の「かいじゅうたち」同様に今後の展開を感じさせる。

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