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2012年3月28日 (水)

スペインのホラーに関して諸々

偶然、日本で公開されるジャンルに偏りがあるだけかもしれませんが、スペインには、ジュブナイル・ホラーとでもいうべき、もしくはホラーと子供という対象が、映画の素材として、非常に重要な位置を占めた文化があるように思われます。
私が、スペイン発のホラーであり、子供ものを知ったのは、多くの映画ファンがそうであるように『ザ・チャイルド』(音楽は、クラシックをタンゴ調にしたり、とユニークなアレンジでイージーリスニング・シーンでも人気だったワルド・デ・ロス・リオス。しかし、本作担当直後に自殺しているため、本作が映画音楽の遺作である)でした。この映画公開時は、ホラーというよりも、スペイン映画における子供の重要性が語られていたように思われます。
次に、製作年度は、前後しますが、スペインの子供モノといえば80年代のアート映画文化の中の代表作となった『ミツバチのささやき』が紹介される。そして、その数年後に、日本で紹介されたのが、あのアメナーバルがまだ20代そこそこで自身が音楽も担当して発表した『テシス 次は私が殺される』。主人公の女子学生を演じたのが、そのミツバチのささやきの少女アナこと、成長後のアナ・トレントでありました。
その一方で、注目されてくるのが、ギジェルモ・デル・トロ。メキシコで撮った『クロノス』は評判は聴くものの、先に日本で公開されたのはハリウッドに招かれての『ミミック』(音楽 マルコ・ベルトラミ)。宗教画的な絵作りで知られたデル・トロの子供題材ホラーはなんと言っても究極の『パンズ・ラビリンス』(音楽 ハビエル・ナバレテ)である。
そして、その数年後、公開に向けてデル・トロも力を貸した『永遠のこどもたち(EL ORFANATO)』監督 J・A・バヨナが日本でも紹介される。これは、子供というより、
子供の霊との話であり、表だっては表されないが、おそらくそうではないか、と暗示される『ザ・チャイルド』の物語とも呼応することになる。また、『永遠のこどもたち』のフェルナンド・ヴェラスケスによるサントラは、先に「WORLD SOUNDTRACK AWARDS」の「DISCOVERY OF THE YEAR」部門でマーク・ストレイテンフェルド(『アメリカン・ギャングスター』)、マーク・キリアン(『BEFORE THE RAINS』)、ベンジャミン・ウォールフィッシュ(『THE ESCAPIST』ムービースコア・メディアが盤化済)、そしてこの人は未だに調査していないがTUUR FLORIZOONEの『AANRIIJDING IN MOSCOW』)といった面々と共にノミネートされており、サントラ・ファンは注目し始めていた。
『INTRUDERS』は、少年に霊が取り付く物語なので、ジュブナイル的感覚の可能性もある。が『ザ・チャイルド』『パンズ・ラビリンス』『永遠のこどもたち』はいずれも、子供が物語のカギではあるものの、子供たちに見せるにはおそらく難解で、ジュブナイルではない。
スペインにおけるホラー世界の独自性。それは、イタリアのアルジェントやフルチなどの表現するグロテスクな美しさよりは、日本の清水崇の考える、雰囲気で怖がらせる中に独特の感覚が入り込むタッチに近い。そして、それは、音楽だけで聴くならば、不安げに美しい正統派ストリングス中心オーケストラになることが多いサウンドトラックの音色からも伺える。サウンドトラックの上品さでいうならば、スペインのそれは、世界のホラーの中で最も極上なのではないかとも思う。

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