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2012年5月 5日 (土)

『ブライズメイズ』恥ずかしさからの歯止めとしてのお下劣

『ブライズメイズ』ですが、こういった作品も「感情の起伏は特に鑑賞後ないけれども、おそらく、よい映画」。
予想以上にお下劣、という噂も聴いていたが、それで身構えがあったからか、ショックをうけるほどではありませんでした。というか、脚本のお下劣さを、仕上げるときにかなり押さえたのかなという感じ。中盤以降の展開の件ですが、それも含めて、結婚介添え人の話、というよりは婚期を逸しかけのひとりの女性の王道ラブコメと女性の友情ドラマ、という構造。ところどころ、大筋から脱線しての登場人物たちのエスカレート行動は、「おバカコメディを楽しみにしてきた観客」へのサービスと思うし、随所のお下劣は、その直前の「よいシーン」が高潮するのを、恥ずかしげに防ぐ効果を持たせるかのように登場する。王道ラブコメは、さすがに恥ずかしくてできないので、ところどころ脱線させてもらいます、という感じ。それは女性・男性キャラクターのそれぞれの性別らしさを意識させるふるまいを、物語は転がせつつもどう回避するか、ということかとも思う。
オリジナル・スコアがはじまってかなり立たないと登場しない。ひたすら、既成曲によるシーンごとのつなぎという感じで序盤は進み、しんみりするシーンで初めてオリジナル・スコアが登場。ちなみにスコアは『ドニー・ダーコ』『君とボクの虹色の世界』のマイケル・アンドリュースだ! しんみりでオリジナル、ということで、考えられること。多くの映画の場合、しんみりシーンで流れる既成曲的バラードポップスはかなり鮮明に印象に残り、ともすれば、その映画の第一主題歌的な印象をもつぐらいの強さをもつことが多い。だが、この映画には、重要な曲がある。最後の最後で、それは披露されるが、この「重要な曲」こそがテーマにならないといけないので、申し訳ないが、他の曲は、これよりも目立ってもらってはならない。ということで、印象を強く残させないオリジナル・スコアがあてられているのだろうと解釈する。
そして、ラストで重要曲は登場する。まあ、その曲はウィルソン・フィリップスの「ホールド・オン」ですが、この曲のように「観客にとっても、すでにおなじみのはずの曲」がテーマとして使われた場合、その曲は今後、映画主題歌として記憶されるだろうか。これは、既成曲のオムニバスとして構成されたサントラ盤が存在する場合に「そのサントラは売れるか否か」という命題の時にいつも語られる問題である。例えば『トップガン』や『アルマゲドン』のような、その映画のタイミングで作られた曲ではなく、すでにポップスとして有名だった曲を使う場合。例えば『パルプ・フィクション』におけるディック・デイルの「ミザルー」。もちろん、サーフ・ギター、オールディーズのファンには有名な曲ですが、タランティーノ映画を面白がって見る観客層にとって、すでに親しい曲か、といえば違うと思う。そのさらに強烈な例だと『ゴースト』のライチャス・ブラザース。これは、もうオールディーズとしては名曲中の名曲だが、『ゴースト』で初めて知った若い観客も圧倒的にいたはずで、彼らにとっては、今後、この曲は、『ゴースト』の主題歌、だろう。・・・そして、その元がエイティーズものというのが今回。これに似た例は、多くのアダム・サンドラー作品あたりがそう。今回も、アメリカ本国は「ホールド・オン」を知っている世代の観客に向けていると思うが、日本で楽しむ観客は、もう少し若い層で、「ホールド・オン」はギリギリ知ってるかどうか、ぐらいだと思う。その「元曲の記憶がない」ことが逆に作用して、ホールド・オンは『ブライズメイズ』の主題歌、という記憶がされる可能性が、日本ではあるのではないか、と推測している。

ところで、女子ばかりの映画なのに、これを見に行くにあたって抵抗はなく、実際、客層も男女比半々ぐらいだった。恥ずかしさを消した感じ、それが功を奏しているのかもしれない(メインビジュアルも、あの表情ですからね)。

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