« 激動さを抑える『ジェーン・エア』 | トップページ | 白いパンを食べる意味『ブラック・ブレッド』 »

2012年6月17日 (日)

意味を持ったオリジナル・タイトル『WE BOUGHT A ZOO』

『WE BOUGHT A ZOO』(邦題は『幸せへのキセキ』とされているらしい)鑑賞。まず、この邦題がすべてを無にしてしまっている理由がはっきりあって、それは、この映画が登場人物の思い入れが入ったセリフが凄く大事であることを示す『WE BOUGHT A ZOO』なのだ、ということ。セリフについてのこだわりは、字幕がさすがで、このセリフは気にしておいて下さいよ、というところには、はっきり印がなされている。これは、吹き替えだとわからないところで、字幕のおせっかい、といえなくもないが、さりげないので、そのさりげなさが、なかなかである。
さて、キャメロン・クロウという人は、本当にファンタジー好きな人だ。それも、日常としてありうる話をファンタジーとして料理する。ただ、前作『エリザベスタウン』の父の死、本作の、妻の死、というノスタルジアの象徴として人間の死が介在しているのが気にはなっている。『ALMOST FAMOUS』は、人の死は直接影響しないが、十分にノスタルジックなドラマだ。
撮影がロドリゴ・プリエトだ。イニャリトゥ諸作でもわかるように、これでもかと人間の表情、エモーションを手持ちカメラの接写で追いかける情熱は、この人のカメラがあれば、どんな物語も集団劇になる。カメラが人物のドラマ性を細やかにきっちり捉えるのだ。
今回のスコアがナンシー・ウィルソンではなく、ヨンシーになった経緯は、リュック・ベッソンの『アンジェラ』でのアニャ・ガルバレクの起用に似て、この作品の特殊な事情。
言わば、この物語は『うる星やつら2』や『まなびストレート』同様、「学園祭準備系」ドラマだ。イベントは、開催してからより、準備中の方が面白い。長期間のイベントならば、見るよりも、運営するほうが数倍楽しい。料理も食べるより、作る方が楽しい。プラモデルも、レゴも、作っている瞬間こそが快感である。準備を描く物語は、楽しくならないわけがない。
『WE BOUGHT A ZOO』は、意味を持ったオリジナル・タイトルである。

|

« 激動さを抑える『ジェーン・エア』 | トップページ | 白いパンを食べる意味『ブラック・ブレッド』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92257/54990018

この記事へのトラックバック一覧です: 意味を持ったオリジナル・タイトル『WE BOUGHT A ZOO』:

« 激動さを抑える『ジェーン・エア』 | トップページ | 白いパンを食べる意味『ブラック・ブレッド』 »