« 「寄り添う映画」だけで終らせてはいけない 『聴こえてる、ふりをしただけ』 | トップページ | 自分も存在する架空の教室『桐島、部活やめるってよ』 »

2012年8月12日 (日)

建築ファンにはたまらない『劇場版 東京スカイツリー』

『劇場版 東京スカイツリー 世界一のひみつ』於・角川シネマ新宿。
全体の印象が高感度なのは、ものすごく客観的で淡々とした作品であることだ。つがいになることになるハト2羽というすごくプチ・ドラマを入れつつも、このハトという「スカイツリーについて、私もこれから勉強」という立場のものを介することによって、難解さを和らげようとする。
が、面白いのは、この映画がバリバリ「建築ドキュメント」であるため、易しく説明する、といっても、やはり専門的過ぎてやや難解な箇所はある。が、そこで、ツリーの全体論に逃げるのではなく、あくまで「ツリーのメイキング」のみに限っているのだ。おそらく、もともとこのメイキングを一般公開するにあたって、どうすれば一般の興味を示すオブラートを包めるか、ということでこうなったのだろう。
想田監督やホセ・ルイス・ゲリンと比較するつもりはないが、この映像も、かなり、観察映像である。日程を伝えるためのテロップはあるが、基本的には、カメラの前で、決して熱くならない現場の作業者の日常が映される。まるで万博の「スカイツリー館」の展示物のような、この映像作品は、それらしい表情としての、低い体温を保つこと、
のために、主題歌は土岐麻子がヴォーカルを入れていて、このタンタンさが素晴らしい。そして、このハト2羽の掛け合いによってナレーションとするという構成。これは松山善三監督・脚本の万博映画の異色作『沖縄海洋博』を思い出さずにいられない。こちらは、愛川欽也と中村メイコのかけあい。が、しかし、異色だったのは、映像は、オーソドックスな万博紹介映像ながら、2人のトークは、それらの映像の説明をかなり放棄していた、ということ。そのアバンギャルドさはさすがに冒険していない。

そして、さすがにこれは現物見ないわけには行かない、とその足で、スカイツリーに行ってみた。意外にしっかり
下から見えるので、映像での説明がより説得力を持った。驚いたのは、いくつもアクセスとして存在する駅々がすべて直結しているということだ。そして、ミニ万博的な立体性をもった娯楽展示・商業施設というかブースがその中に無数にある。浅草にあるはずの建物なのだが、完全に閉じられていて、今、ここはどこなのかの実感は全く得られないまま、時は過ぎていく。数々の過去の万博も、同じような状況だろうか、と思いなおす。愛知万博は違った気がするが。「地元ボランティアを積極的に取り入れる」というシステムが目立ったからだろう。そらに近い物は、こちらにはない。

|

« 「寄り添う映画」だけで終らせてはいけない 『聴こえてる、ふりをしただけ』 | トップページ | 自分も存在する架空の教室『桐島、部活やめるってよ』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92257/55410263

この記事へのトラックバック一覧です: 建築ファンにはたまらない『劇場版 東京スカイツリー』:

« 「寄り添う映画」だけで終らせてはいけない 『聴こえてる、ふりをしただけ』 | トップページ | 自分も存在する架空の教室『桐島、部活やめるってよ』 »