« 研究者の考察を参考にしつつタルコフスキー『アンドレイ・ルブリョフ』『鏡』 | トップページ | 「アップリンク配給」で「ル・シネマで公開」の「難病ものフランス映画」『わたしたちの宣戦布告』 »

2012年9月25日 (火)

深谷シネマで見た『シグナル 月曜日のルカ』

『シグナル 月曜日のルカ』於・深谷シネマ
当初、川越スカラ座に行くつもりが、諸事情で予定変更で、深谷シネマへ。
いろいろと書きたいことはあれど、先に、映画そのものについて。
前知識としては、仲里依紗版『時をかける少女』を撮った谷口監督作だ、ということだけ。そして、ご当地映画的なものだろう、といううっすらとしたもの。谷口正晃監督の位置的イメージは、自分にとって、少し前の今関あきよしや小中和哉の位置にある監督。完璧ではないが、なかなか実現できないキュートさを恥ずかしがらずに形にする。
今回の『シグナル』のヒロインとなる三根梓、完全に初代時かけの原田知世とダブる。
古風な映画館の、もっとも古いタイプの映写室における映写技師が少女!この設定は、あまりにかけ離れていて、思いついたことがなかった。女性が映写機を回す、という実例は、思い出す限り、自分の周りでも数例あるが、かなり稀であることは確かだ。
何より、この映画で気になったのは、この映写機の扱いについての描写があまりに細かくて、長いことだ。たまたまだが、自分が映写も担当した映画館は、まさしく、この方法をとった映写だった。ただ、作品中の映写機は、多分、フィルムを2つにまとめて、映写機を移すのは中間点の1回だけだが、自分がいた映画館は、邦画やおおよその洋画は、一巻が約20分で、フィルム2巻分をひとつにまとめて回していたので、映写機の移し変えは、100分の作品だと、2回行うことになる。なんてことを思い出しながら見るので、個人的には退屈しない。
思わずにいられなかったのが、この作品のターゲットは、どこにあるのかということ。この映画館の設定、技師が美少女なんていう、ある意味、夢の設定は、年齢がそこそこ召している男性向けと思われるが、そんな舞台とは、全くそぐわない、結構ドロドロした愛憎ミステリーは、いまどきのティーンエイジ女子向けのような気もする。そして、美男美女が演ずるためにすっきりしているが、これに似た愛憎トラブル(ストーカー的な)は、現実にも、相当数潜んでいる気がする。決して笑える設定ではない。
とすると、映写技師が美少女、というキモのこの一点を除き、実際は現実味を帯びているんじゃないか、とは思う。作品のロケ地として使用された映画館は上越市と上田の劇場。この2つ、特にシーンが多い上越の「高田世界館」はご当地映画的なものがある。
さて、この作品、映写技師なんて古い、と少女は言う。これまた笑えないジョークとしては、これが「デジタル作品」であることだ。
驚けたのは、不自然なクライマックス含め、ほとんど全てのシーンが映画館の中で語られるということで、ここに、この映画独特のこだわりがおそらくある。

この映画を「深谷シネマ」で鑑賞。ちょうど自分の中で意識のあった「地域コミュニティ」としての映画館のありようのひとつの有名な例の場所である。酒蔵を改装したという場内は、場内に入るまでが、かなり味があり、またシンプルな椅子も、いかにも手作り映画館の、最小限でのクリーンさが整った感じ。
ローカル線の旅をする時に、「地方の映画館で見る」という旅も加えたい構想は以前からあるが、この「地方名画座・ミニシアターの旅」は、見直したく思う次第。

『シグナル 月曜日のルカ』が、ご当地映画として作用しているのかどうかはわからないが、ご当地映画散策にも興味はある。地方色がしっかり焼き付けられ、かつ、映画作品としてもしっかり面白い作品になっているのかどうか。一見、真面目に地味にしか見えなくて、ひとまとめにしがちだが、決して、「すべて同じような作品」ではあるまい、とは思っている。

ロードショー時のパンフ売ってました。700円。邦画で若手俳優の映画なので、インタビュー掲載はあるが、予想を裏切るものではない。長文は映画ライターの細谷美香さんの三根梓についてのプロダクションノート的主観的肯定論、監督インタビューも、役者についてで、かなり重複あり。そして、この作品では、これがないと意味がない、舞台となった2つの映画館についての紹介(電話番号やウェブアドレスまでは掲載せず)、最後に映写指導をされた荒島晃宏さんの話。ここも、つまりは若い役者さんのがんばりについてになってしまうが、映写シーンの解説も少し。荒島さんは、起こしたことがないトラブル、とおっしゃっている、フィルムが床に散らかされたトラブルは、これは巻き取り側からフィルムが外れると起こるのかな。そして、ちょっとはてなだったのは、フィルムのさかさ状態ですが、あれは巻き戻すのを忘れて、前回に終了したフィルムをそのままセッティングしてしまうと起こるのかな(かけ方が逆だから、多分、音も出ていないかな)・・・・

|

« 研究者の考察を参考にしつつタルコフスキー『アンドレイ・ルブリョフ』『鏡』 | トップページ | 「アップリンク配給」で「ル・シネマで公開」の「難病ものフランス映画」『わたしたちの宣戦布告』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92257/55739417

この記事へのトラックバック一覧です: 深谷シネマで見た『シグナル 月曜日のルカ』:

« 研究者の考察を参考にしつつタルコフスキー『アンドレイ・ルブリョフ』『鏡』 | トップページ | 「アップリンク配給」で「ル・シネマで公開」の「難病ものフランス映画」『わたしたちの宣戦布告』 »