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2012年10月21日 (日)

ポップかつ衝撃的な『いちご白書』

『いちご白書』於・三軒茶屋中央

まず。70年代あたまぐらいまでの映画で、このスタイルをとっているものが多い、主要クレジットを先にメインタイトルで出してしまう方法。この映画も、このスタイルなのだが、これ、他の作品も、ぜひ、実践してほしいことが。それは、・・・この映画、当時のロック/ポップ・シーンの重要なアーティストが提供した楽曲がかなり流れる、今で言う、PV的な作りもしている作品なのだが、流れる楽曲とアーティスト名が、メインタイトルで、つまり、流れる前に先にクレジットで提示されるのだ。どういった曲が、この作品で流れるのかが、先につかめるのだ。このスタイルは、そういえば、長年、定着してもいいものなのに、その後の作品で引き継がれているのは見たことがない。

 

さて、多分、テレビ放映などを含めても、見たのは初めてと思う。80年代などにリバイバルされるのも見たことがないし、古いフィルムが名画座で回っている、ということもなかった。かつ、学生の頃は、ポップ・ロックが流れる青春映画、というのは基本的に苦手だったということもある。

ものすごくポップな演出法で、当時のヤングも飽きさせない作品だったのだな、ということは納得できる。そういえば、この作品で多用される急激なズームインとズームアウト、時には、まるでおもちゃで子供が遊ぶかのようにしつこく多用しさえする。カットインも多い。これも、はしゃいでいるように多い。

 

映画は、終盤までは、いきいきとした若者ならではのポップな感覚で可愛らしいが、ラストの、最もスペクタクルな場面で、その後のパニック映画もかくやの、乾いた、そして、これも別の意味でしつこく表現するシーン。ラストの、このカラーの変化が、この映画の客観性を決定付ける。

 

自分は傍観者の態度であったはずが、次第に主役になっていく様は、『桐島』を思い出させたりもした。

 

なんとリバイバルにあたってのパンフが存在する。提供メダリオンメディア、配給アンプラクドの「語り継ぎたい映画シリーズ」のvol.1。『バードシット』『少年は虹を渡る』『ナッシュビル』のあのシリーズとは別。

無記名で「政治の季節、アメリカン・ニューシネマと学生運動」と称した原稿があるが、ニューシネマの、それも名作中の名作について言及するのみ。コロンビア大学紛争の実際の事件についての解説もほしかったりする。

http://democracynow.jp/video/20080425-1

http://en.wikipedia.org/wiki/Columbia_University_protests_of_1968

実際に起きたのは1968年の春で、1970年に映画化されているので、相当、記憶に新しいうちのメジャーでの映画化。かつ監督が28歳でポップなスタイル、と今でも、このスタイルはありそうだが、本作は、40年にリバイバルされる作品であるわけだ。

原作となったのは19歳時に体験したジェームズ・クーネンのノンフィクションで、クーネン自身、1979年のドキュメンタリー”Since of ‘45”に出ている。

 

そしてもうひとつの原稿。サウンドトラック(挿入曲)をメインにした解説だが、これが最も、映画全体の解説としても詳しい。オムニバス的な構成になっているサントラの作品では仕方がないのだが、シーン解説とそこでかかるBGMという形なので、全体像になりにくい。

そして書かれていたのは、川勝正幸氏なのだった。

 

ちなみに川勝さんの原稿ではなく、イントロの方で「完成度の高いサントラは、今も愛聴者が多い。」とあるが、92年に米ソニーで発売されたCDが廃盤になったのを最後に、長年再発されておらず、新たに入手するのは困難となって久しい。

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