« ポップかつ衝撃的な『いちご白書』 | トップページ | ある意味「夢の中の映像」ブレッソン『白夜』 »

2012年10月28日 (日)

優しさに満ちた「淡々さ」『流 ながれ』『粥川風土記』

『流 ながれ』は、神奈川・中津川の環境保全につながる植物の保護と水生昆虫の発見に10年を費やす男2人を追ったドキュメント。ともに、普通のおじいちゃんが、ちょっと気になっていること、ぐらいの親しみやすさで問題と向き合うが、この記録が凄みを持つのは、その何気ない記録が10年以上(現在も続いている)の時間の重みをもっていること。何気なく振舞われるほど、その重みは伝わる。

 

そして凄かったのが『粥川風土記』で、全長162分の大作。じっくりとカメラを対象に構えて、ゆったりとした映画時間を過ごさせるものかも、と思ったが、そもそも文化映画の大家・姫田忠義氏による作品で、淡々と、描きたい事柄について、最小限の時間を使って解説していく感じなのだが、この、岐阜県の奥に位置する川沿いの山間の村、語るべき事柄が、あまりにも多いのだ。そのため、ひとりの人物をじっくり取材して、というわけでもなく、印象的に取材される人々の数も、膨大の人数。2時間越えの箇所で、ひとつのトピックについて、少し時間をとるが、そこ以外は、基本的に最小限の時間間隔だ。

久々に文化映画然とした作品を見た思い。思えば、この作りこそが、オーソドックスである。そして、一般映画館で文化映画はかかることがなかった時のテイストがまさにこれなのだが、このあまりにも優しさに満ちた無機質感。心地良くて、まさしく旅と映画、ともに好きならば、このタイプの作品には、多く触れるべきではないか、と思った。

|

« ポップかつ衝撃的な『いちご白書』 | トップページ | ある意味「夢の中の映像」ブレッソン『白夜』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92257/55986023

この記事へのトラックバック一覧です: 優しさに満ちた「淡々さ」『流 ながれ』『粥川風土記』:

« ポップかつ衝撃的な『いちご白書』 | トップページ | ある意味「夢の中の映像」ブレッソン『白夜』 »