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2012年11月24日 (土)

あまりにもシュールな『夢を召しませ』と女性映画としての傑作『風船』の川島雄三2本

『夢を召しませ』『風船』於シネマヴェーラ渋谷

シネマヴェーラ渋谷も初ならば、多分、川島雄三作品も初。とにかく、我ながら、旧作の見ていなささは激しい。

昔の邦画のあまりにもの守備範囲の広さは、それだけ支持された娯楽芸術であったことを物語る。

さて、川島雄三監督2作品。現在のデジタル上映への移行は、この「フィルムではおそらくみるのはもう不可能」な旧作の多くに、フィルムではないが触れることが出来るようになったことである。

『夢を召しませ』これは16ミリでの上映。その名の通りの作品で、導入部の説明をテンポよく進めた後に「夢」の内容に移っていくのだが、これが、もう破綻しているといっても過言ではないアバンギャルド。この流れを、夢とはいえ、納得してついてくる観客は相当と思うが、考えると、当時からすると、松竹歌劇団のスターたちが、このシュールすぎる長いコントを演じているのだから、たまらないかもしれない。

すっと通り過ぎてしまいそうだが、考えると面白いのは、劇中のリアルな部分でも、男性役に女性を配していることである。夢の部分のあまりにものシュールさに、こちらの構造は普通に見えてくる。海外リメイクならば、ミシェル・ゴンドリーですね、これは。

そして『風船』。もうこれは明らかに「美しいヒロインたち」の映画で、境遇の全く違う立場の魅力的な女性4人が要で、4人が4人ともそれぞれファンがつきそうな愛らしいキャラクターである(

悲劇的な新珠三千代をもってさえも)。ヒロインをさまざまな境遇に追いやっているかの男性キャラクターも、もちろん、一見主人公のごとく存在するが、最終的には、映画は、女性たちの行き先に向けられる。女性映画らしい女性映画は、久々に見た気がする。

そして、この物語の魅力である女性たちの現実感は、それぞれの「部屋」がしっかりとドラマで描かれていることである。これは、当時の社会的概念の傾向もあるのかもしれないが、というより男の部屋は見ても興味はわくまいが、女性たちの部屋は、自身をみるぐらいの興味があるものである。

個人的には、京都に住む女性の「家」の構造が、亡き(母方の)祖母の家の構造に凄く似ていて、懐かしさを覚えざるを得なかった、というのもありました。

 

まさしく、今これから作られる作品よりも、過去の未見作品チェックで大変だ、というのを改めて、身にしみる思いです。

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