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2012年11月14日 (水)

あまりに堅実な「実録もの」な『アルゴ』。

『アルゴ』於・丸の内ピカデリー

この映画の誠実な点は、実録モノとして、その作りに非常に、過去の良作に比較して忠実、ということである。あまりにも、省略すると、物語がわかりにくくなる事項ばかりだし、どの場面もすでに「見せ場」になりうる重要さを秘めている。がために、たっぷりと感情描写なんかしている時間はないし、それはすでにリアルさを失うことになりかねない。次に、この映画の見せ所は、では、どの事実とどの事実を、どの順番で、複数あるドラマの現場を対比して見せるか、ということになってくる。主には、脱出側、ハリウッド側、CIA、イラン側の4者をどう並行させるか。これがかなりめまぐるしいが、いずれもその存在が明確化されているので、秒単位で移り変わっても、混同することにはならない。

監督としてのベン・アフレックは、集団劇を好む、というか、脇役にほど、興味が湧く人なのだろうな、と思ったりする。シーンごとに、そこにしか登場しない役柄の人物たちへのアクセントも忘れないので、どんどん世界が広がって厚くなっていくのだ。これは、ジョージ・クルーニーにもいえる気はする。

特に「空港突破」という、決行する人間たちに特別スーパーアクションを求める場面ではない時間を一大イベント化させる数分はすさまじい。

 

ただし、感じたのは、やはり、小中学生は、この映画を見ても意味がわからないだろうな、と思うのは、その年齢で見た『戒厳令』や『大統領の陰謀』などが面白さを感じられなかった記憶があるからである。

 

作品そのものとは外れるが、考えたこと。この映画は「大スクリーンの必要性」はない。「大スクリーン」には今や、アトラクションとしての映像作品であったり、大勢が一度に同時に熱狂するためのアニメやアイドル映画こそのもののようでさえある。

大画面で見る「面白さ」とは何だろう、と思う。イケメンがかっこよく映されるのも「面白い」ことだろうし、CG満載の派手映像の楽しさも「面白い」ことだろう。そして、興味深いストーリーは、多分、そこにはない。

この面白さの意味合い分けは、いずれもまっとうなはずなので、むしろ「アルゴ」を大画面で見せることのほうが、説得力を持たないものだと思ってしまう。

 

パンフは700円。ぱっとみて思う。プレスみたいだ!

門間雄介氏による、いわばインタビュー原稿の変形的なものまで含めて、ほぼインタビューから探られている。数々の、事実で検証できるキーワードの分析は、解説の一環として、何稿にも分かれて触れられる。面白いのは「奪還映画」として、その系譜をたどる川本三郎氏のレビュー。アメリカ商業映画としての傾向がみえてくる。

 

ところで、ご指摘あったように、映画見る限りでは、普通に聴かせ場も多かったアレクサンドル・デスプラの音楽なのですが、なぜかパンフレットに、プロフィールはおろか、最後のページのクレジットにさえ、ない。

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