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2012年11月18日 (日)

熟考を重ねた後の「ご当地映画」のひとつの真摯なる形『三池 終わらない炭鉱の物語』

『三池 終わらない炭鉱の物語』於横浜シネマ・ジャック

熊谷博子監督は、いわば記録映画界のヴェテランというか名匠であろう。ですが、これは自分における、ということですが、近年に至るまでは「記録映画」というのは、いわゆる「映画」とは別のポジションにあった。確かに、今でも、ある意味別のポジションと思うが、少なくとも「一般劇場」で鑑賞する作品、の認識はなかった。作品というよりも「映像資料」のイメージがあったというのが近いと思う。

この『三池 終わらない炭鉱の物語』も、奇は全くてらわない、真正面から、これはまさしく「しっかり記録したものを見せて・聞かせていく」映画である。多くの記録映画がそうであるように、この作品でも重要なのは、証言を聴くことができた当事者の方々のインタビューであり、撮影当時の、現地の風景である。それが重要である意味を説明するために、解説が加えられていく。

三池が九州であること以外は、ほとんど知識を持っていなかった私自身には、内容について、どうこう言うことは全く出来ない。貴重な記録に触れさせてもらえた、という以上のことは言えないし、それは決して客観的に言っているという感じではなくて、ここから始まるのだ、的なものである。

パンフレットがシグロ発行で、出ていた。なんとデザインに巨匠・小笠原正勝氏の名前も。700円。

 

そのパンフを読んで知ったことが以下から。この映画、自治体からのオファーで熊谷監督が携わったという素材で、なんと自身から動機が発生して、というものではない、ということが監督インタビューでわかる。もちろん、記録映画のプロ中のプロに依頼するわけだから、自治体の担当者側の熱意と膨大な資料の準備への心積もりなどもハンパではない。監督インタビューは、プロダクションノート的に、この作品が完成するまでのさまざまな壁が読み取れる。パンフは他に地元・大牟田市石炭産業科学館の中村珠美氏による、この映画が作られる、と言うことになった想い、そして見終わっての想い、同館の歴代館長のリレーエッセイ、同じ「炭鉱」の田川市で行われたアートプロジェクトの主宰者の川俣正氏、そして、まるでシナリオ採録のように、映画中に登場する人々の言葉を書き起こしたもの、用語集、そしてスタッフ(撮影・整音・ビデオエンジニア)が語る裏側と想い、そして、このパンフの序文は、岩波ホールの高野悦子支配人による、この作品の保証書のような原稿である。

この映画を鑑賞し、パンフを読めば、かなり、さまざまな視点で、三池についての事項を知ることが出来る。新書一冊読むぐらいの知識量はおそらくある。

 

ところで、三池炭鉱が、海の下を掘り進んだもの、というのは知らなかった。そんなことさえ知らなかったという感じです。

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