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2012年11月17日 (土)

『アルゴ』直後に、参考になる「リアルタイム時の緊迫実録もの」『特攻サンダーボルト作戦』。

『特攻サンダーボルト作戦』於・新橋文化劇場

オーソドックスな作りながら、反芻すると、メッセージをどこにおくか、ということにおいてストレートであり、ある意味、へんな技巧には走らない、そんな男気に満ちた映画である。

この映画を形成する時間の多くは「ハイジャックされてから、軍が動きはじめるまでの乗客の焦燥」と「打開策に困り果て、方向が見えぬまま首脳たちが議論を続けるさま」と「奇襲作戦決定から、実行までの地道な前準備」に印象は占められる。おそらく、この3つは「時間の経過が、当事者たちに、実際以上に長く思えている瞬間」である。つまり、あえて「動きが見えにくい箇所」に視点は当てられる。

そして、その「時間の経過」の表現の一つとしてであろう、極端に、音楽は流れない。音楽が流れると、若干でもそちらに気もとられるはずだから、あえて流さない。登場人物たちは、時間を気にしている。兵士たちは、ついに歌い出しさえしてしまう。

決して、映画がドキュメンタリー・タッチなのではない。しっかり、ドラマティックな仕上がりである。ただし、前述の視点が製作の中にある。

それは、事件に巻き込まれてしまった人間たちの心構えであったり、苦悩であったり、そこに興味は行っている。物語を進めるコマのはずなのに、ハイジャック犯たちと、作戦を指揮するブロンソンに当てられるタイミングは、まさしく最小限である。この映画は実録であり、世界中の人間が、事件の概要は知っているはずである。がゆえに「新聞記事やテレビ放映では取材されなかった人たちとその時間」だけに興味を集中させているのである。なので、現在、この映画を見る限りでは、重要なところだけがあっさり通過されてしまったかのような空虚感があるかもしれないが、当時は、それはみながすでに知っている事項なだけに違和感は生れなかっただろう。

 

以下、覚書。日本輸入(日本ヘラルド)のフィルムの原題は”OPERATION THUNDERBOLT”であったが、一般的にはインターナショナルな現在のタイトルは”RAID ON ENTEBBE”になっている。こちらのタイトルで過去FSMが『モリツリ』の終盤で収録と言う形で、サントラがCD化されている。

アメリカは、TVムービーとしての公開。もともとTVムービーで製作されたため、スタンダード・サイズなのでしょう。対する、もともと劇場映画として製作された『エンテベの勝利』は、公開当時に、アメリカでシングル盤が出ている。

 

アーヴィン・カーシュナーって、タッチとか、覚えがないのですが、考えたら、どうも重要な『アイズ』『サウスダコタの戦い』ともに、見ていないようなか気がする。

 

また、この映画、事件のカギとなった箇所は、いちいち忠実に描写しているので、事件資料を照らし合わせると、興味深いです。

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