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2013年2月11日 (月)

日常の中のドキドキした瞬間でさざなみを作る『あんにょんキムチ』『カレーライスの女たち』

『あんにょんキムチ』『カレーライスの女たち』

於オーディトリウム渋谷

 

松江哲明という監督は、今までにないタイプの監督である。何しろ、始めに、自身を見せている。これが飾りけなしなのか、イランの巧妙な監督たちのように演出が施されているのか、それは疑えなくもないといえばないが、もし、それほどまでに巧妙であれば、自身こそ、奥崎謙三的天性の役者ということになり、それは違うように思われるので、プライベートを見せるところから監督人生を始める、という、なかなか真似のできない荒業から入っているのかな、という気はする。

『あんにょんキムチ』は、なんといっても、あの短い時間の中に、自身のルーツの旅を違和感なく編集しきっているのがすごい。ラストっぽいラストにしっかり盛り上がっていって、決してヌーヴェルヴァーグのようなスカシ方じゃなくて、万人が見て面白い娯楽映画になっているのがすごい。

『カレーライスの女たち』は、20代の女性たちの私生活にお邪魔し、素に近い表情を撮影させるという、なんともうらやましすぎる作品。彼女たちを日常の中の小さな、そして親密なイベントに誘うものが「カレーライスを作ってほしい」というリクエストは秀逸。料理ほど、日常の中のイベントはない。そして、カレーライスほど、誰でも、一応、作れなくはなく、かつ、個性が出るメニューもない。そして、映画の中で、レシピがわかってしまうほどに詳細に手順が写された作品も自分には初めてだ。

料理といっても、ルーから作るわけじゃなくて、市販を溶かすだけ(やや、香辛料あらたに足した人もいましたが)なので、違いが見えるのは、むしろ、食材に何を選ぶか、だったが。

そして、しっかり、いずれも映しているが、「翌朝」の状況が肝だったりするわけで。

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