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2013年2月11日 (月)

激しくエロティックなラヴストーリーが、あまりにも静かな画面に隠される『アガタ』

『アガタ』於オーディトリウム渋谷

(特集:「演劇」と映画館の「親密さ」)

始め、もっと抽象的な、詩の朗読と動くイメージが延々続く、まさしくアーティスティックな「映画」なのだと思っていて、さあ、それでも、今日は、そういう感じのものも取り込む気満々ですから、さあ、どうぞ! と思っていたら、途中から、この、抽象的な、愛の詩と思えていたものが、どんどん具体的なストーリーをもってくる。そして、そのストーリーの主人公ではないか、と思われる男女も風景の中に溶け込むように映し出されて、そのたたずむ彼らをイメージだけさせて、詩と思わせた台本?で語られていく、かなりドロドロした愛憎劇は、観客さんたちにイメージしてもらいましょう、という、かなりハードな物語を、ボーッと見せるという離れ技。

ただし、睡魔を導かせるさざなみ他の効果音や、ブラームスのピアノ曲、そして朗読そのものは、意識して単調に語られるため、まず「おきていないといけない」という苦行が待っているわけではあるが。

この手法は、つまりは朗読劇を映画化したものであって、それで、今回の特集上映に組み込まれているのだろう。

パンフは販売されていました。これは、相当解説を必要とするフィルムだろうから、ありがたい。梅本洋一氏がまず、ドキュメンタリー「デュラス、映画を撮る」が、この作品のメイキングだったことに気づき、照らし合わせる。

ところで、この映画、なんと、日本初公開は2003年で、10年前なのか。ちょっと驚き。

仏文学者の田中倫郎氏はデュラス自身の姿と、本作の登場人物や背景との類似を考察する。

演出家・渡邊守章氏は、舞台版の『アガタ』から、構成について考える。

詩人・吉田加南子氏と、榎戸耕史氏の対談は、デュラス映画について、あれこれ。

御園生涼子氏は、デュラスのフィルモグラフィーを解析する文章。

そして、詳細なフィルモグラフィ自体があって、

筒井武文氏によるビュル・オジェ論。と、物凄いボリュームのパンフレット。もはや、ちょっとした新書。分厚くはない一見普通のパンフなので、油断します。

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