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2013年3月30日 (土)

ドラマ、よりもここちよく力強く魅力的な日常『グッバイ・ファーストラブ』

『グッバイ・ファーストラブ』(フレンチ・フィメール・ニュー・ウェーヴ/於シアター・イメージフォーラム)
 
しばらく、この映画は、どこに帰着する物語なのか、そもそも物語は語られるのか、と不安げであった。互いに愛し合う若いカップルの幸せなイチャイチャ生活が、一見、延々と見せられるわけであるが、そこからのこの女性のドラマが、ほとんど、誰も何も語らず、事件らしい事件もない日常カットのすばやい進展で、女性の実際に複雑な心情風景な状況を説明していく。少しずつ、彼女たちの状況はどんどん複雑になるのだが、それでもドラマは起らずに終わる。ラストのラストでメタファー的なものをもってきて、人生とは、みたいな終結となる。
おそらく、決して珍しくない女性の数年の日常は、感動なんて、簡単な言葉ですませるものでもない。ましてやドラマなんて簡単な単語でもない、といっているかのようでもある。
音楽は、不思議な趣味。フランシス・レイ的なものを流しても違和感ないのだが、ここでは、ここ、という場面でのみ、スコアらしいものではなく、フォーク的なヴォーカル・ナンバーが挿入される。それも、本当に、目立たない感じで。ラストは、目立たせるが、あれは、全くもって大きな意味があるからだ。
 
言い忘れたが、この作品、本当に、ベッドシーンが多いのだが、痛快なのは、ベッドシーンではあるが「行為」のシーンはほぼ一切なく、すごく平易で簡易な単語だけで済ませられて終わる、ということだ。そのことそのものへのこだわりのなさを端的に表現するために、非常に効果的ではあったろうと思う。結果、全くエロティックな映画だとは思えていないので。
 
パンフレットは「フレンチ・フィメール・ニューウェーヴ」でまとめて出ている。
64ページで分厚いが、写真が多い。それぞれの作品の解説と、監督の解説とインタビューが丁寧で、かなり勉強になる。キャストが過去作品の作品名提示のみ、そして他スタッフについて一切言及なし、はかなり残念。コラムは『グッバイ・ファーストラブ』は、文筆家・五所純子、『スカイラブ』はミュージシャンの猫沢エミ、『ベルヴィル・トーキョー』はアンスティテュ・フランセ日本の坂本安美各氏のそれぞれ印象論。まあ、現代フランス映画は、紹介のされ方がまばらな気がするので、どこをどこまで解説すればよいのか、雲をつかむような話、の感じがしないでもない。

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