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2013年4月29日 (月)

シュワ復活、というより群像劇アクション人間ドラマ『ラスト・スタンド』

『ラスト・スタンド』於・丸の内ピカデリー 
 
まず、シュワルツェネッガーをメインに据えるとして、かなりの群像劇である。セリフは少ないながら、作りこまれたキャラクターは、役者たちが与えられた役柄を相当それぞれの中で膨らませて、それぞれが主人公として成立させるも可能なレベルまで作りこんでいるように思えた。が、この作品は、そんな人物設定を基礎におきつつも、徹底的にテンポで見せるアクション・ムービーである。力技というより、銃撃戦ひとつの中にも緻密なプロットが練られていて、さながら、銃撃戦の中でストーリーも進展させるという離れ業をやってのけている感じもある。なので、相当長い、町での銃撃戦が冗長ではもちろんない。
そこにもってきて、カーチェイスもふんだんにみせますよ設定なので、まるで2部構成で、ここでもドラマもしっかり見せる。
そして、目だったのは、アクション映画ながら、女性の役どころの比重が多いことだ。もちろん、この映画は、西部劇へのオマージュは根本のひとつにあるだろうが、そこから進展しているのは、女性の役割の進め方だ。
コメディ的味付けは、舞台が平時は、あまりにも何も起らない町だったことの象徴で、おそらく、この平和さ加減の描写はリアルで、町中を地獄にはしないところが、現代的なのであろう。
途中の描写は、韓国の監督ならではの非情なヴァイオレンスかと思わせる箇所がいくつもある。が、そこはハリウッド流に最終的には落ち着かせるわけで、そこは、見る側の中で、そのオチはいらないと判断すれば、中間の残酷さは味わったままでよいだろう。
いずれにせよ「シュワちゃん復活アクション」の仮面をかぶった、群像劇としてのアクション人間ドラマの傑作だと思う。
 
パンフレット。ワルノリなほどに濃厚。従来の記事のほかに、「逃走経路マップ」、「登場人物相関図」「登場する銃器・クルマ」をほとんど図鑑状態で、シュワルツェネッガーのフィルモグラフィには、なんと一作ごとにコメントがつき、キム・ジウン監督のフィルモグラフィも同様の詳細さに、ミルクマン斉藤氏による監督論、ジウン監督との仕事経験のある白竜氏へのインタビュー。しかし、音楽のMOWGについては、クレジットすらなく、残念。

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