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2013年4月29日 (月)

マジックを見せられるような不思議な時間感覚『ジャッキー・コーガン』

『ジャッキー・コーガン』於・みゆき座
 
映画というか芸術・作品を鑑賞するに当たって、それぞれ独自の「時間の流れ方」というものが存在する、とは思っていて、映画で、それを初めて痛感したのは『美しき諍い女』で、次に『ユリイカ』でそれを多大に感じたものだ。この2つは、結局最終的に圧倒的な上映時間を有する作品なので、当然といえば当然なのだが『ジャッキー・コーガン』は、それとよく似た「時間の流れ」を感じた。
状況を設定された上で、おもに二人の男たちによって、まるで延々と際限なく語られる結論のない会話。それは聴いているうちに、どこからか、会話の内容というよりも、リズムを楽しんでいるような感覚に移っていく。カメラも、かもし出す空気も、シーンが始まるや、「さあ、長丁場ですよ、リラックスしていきましょう」感があるのである。
一応、フィルムノワール的なものなので、ヴァイオレンスもあるが、後半にそれらは集約され、中盤のそれは、雰囲気を乱さぬようとばかりの工夫がこらされる。
ということで、さあ、と本腰を見る側は入れるかな、と思ったら、エンドクレジットになってびっくり。ということで、結果、この不思議なまったり感の時間の流れに支配された、物語のミステリアスさは皆無で、そこではないところにポイントがある不思議な映画だった、と感慨にふける次第である。なんだこれは、という怒りではない。むしろ、見事なマジックを見せられたあとのようである。
音楽も、恐ろしくシブい選曲でまとめられ、一応オリジナル箇所はありつつも、ピアノの追加と音響的な追加をマーク・ストレイテンフェルドが行っている(MUSIC BYというクレジットではない)。スペシャル・サンクスにハル・ウィルナーの名があった。どう関わっているのかは不明。
 
パンフレット。この作品の最もかなめなテイストの意味を、映画にも海外ミステリにも造詣の深い滝本誠氏が、さすがに読みつくしている者ならではの文章で、この物語の魅力のあり所を解説。立教大学教授・アメリカ研究の生井英考氏は、作中、しげく挿入されるオバマとマケインの2008年の選挙演説の意味を説く。ドミニク監督のスタッフ・プロフィール内のコメントも、役に立つ。そして、森直人氏はブラピ論なのだが、俳優論ではなく、ジョニー・テップ、トム・クルーズと合わせて、それぞれの俳優人生プランの比較を考える。確かに、ある意味、難解な映画であろう、本作は、解説はかなり有効であります。

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