« シリアスドラマの中で繰り出される娯楽テク『骨までしゃぶる』 | トップページ | 「恐怖」以外の「美学」を探している『死霊のはらわた』 »

2013年5月 5日 (日)

ハードボイルド様式美に酔いまくる『勝負は夜つけろ』

『勝負は夜つけろ』於・シネマヴェーラ渋谷(特集上映:復活!!久保菜穂子)
 
 絵に描いたような「どハードボイルド」な一作だが、生島治郎が原作(『傷痕の街』)とあらば、教科書的ハードボイルドも納得する。ハードボイルドといえば、自分は、登場人物たちの心理描写をかぎりなく排して、行動や、推察のみを描くものとイメージしていたが、この作品などを見ると、かっこつけて見せれば見せるほど実はそうじゃないウエットな感じがでまくっている。というか、本作だと、田宮のナレーション抜きでもおそらく理解可能なのだが、入れることによってのヤブヘビ感が出ていて、憎めないところである。
 推理小説としてはどうか、といえば、もともと登場人物が非常に限られたプロットなので、自ずとパターンは狭まるわけで、ミステリーはあくまで味付けにすぎず、やはり、このジャンルの様式美を味わい倒すためのアクセサリーとしてプロットは存在する。
 田宮が久保とクラブで会うときに、ダンサーが後ろで踊っている図をバックに、ふたりの姿が映されるショットあたりは、この映画がどこを目指すかをビシッときめていて、ここまで徹底すれば、文句のつけようもない。 
 ところで、生島治郎作品といって、自分個人的には、愛読したものが思い当たらない。妻だった小泉喜美子の『ダイナマイト円舞曲』は読んだ記憶がある。
 『追いつめる』は読んだような気がするが、内容は思い出せない。
 ハードボイルドというジャンルが当時、どちらかというと苦手で敬遠していた感じがする。当時から、様式美というより、破格な物が好きで、ハードボイルド的なものでは草野唯雄が好きだった。『もう一人の乗客』は名作だった。
 生島治郎は、それよりも確か水曜10時の『科学捜査官』のあと番組として始まった『特捜記者』の原作のひとり(生島治郎・佐野洋・三好徹・結城昌治・五木寛之)としてのインパクトが『非情のライセンス』よりも、ある。

|

« シリアスドラマの中で繰り出される娯楽テク『骨までしゃぶる』 | トップページ | 「恐怖」以外の「美学」を探している『死霊のはらわた』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92257/57312587

この記事へのトラックバック一覧です: ハードボイルド様式美に酔いまくる『勝負は夜つけろ』:

« シリアスドラマの中で繰り出される娯楽テク『骨までしゃぶる』 | トップページ | 「恐怖」以外の「美学」を探している『死霊のはらわた』 »