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2013年6月11日 (火)

デザインされたストーリー『オブリビオン』

『オブリビオン』於・109シネマズ川崎
 
  SFだからこそ考えられる思考の断片をつなげて、それらを、SF的に美しい視覚・聴覚でもってデザインした作品。そう、この映画ほど「デザインされたストーリー」という形容がぴったりくるものもない、と思った。
前半に興味箇所が少ない、という意見があり、それは、この形の作品のセオリーにならい、全てを見終わると、その意味も分かり、バランスとして、前半は存在するのだろうと思う。
 観ながら、何度も、自分の中では、思考を停止させた。多くの場面で「まさか、こんなシーンがあると思わなかった」という状況が起るのだ。それらを繋いでいるため、ストーリーは決して、クレバーではなく、冒険活劇としてみれば、あまりにも乱暴な物語で魅力に乏しいと思いかねない、と思う。が、例えば、早い時点で、SFアクションかと思いつつ、男ひとりに女ふたりの物語である異色さなどから、見る側に、狭義のアトベンチャーが真意ではなさそうという意識はうすうす形作られていくのだろうと思う。
 カットは細かく割られているのだが、タルコフスキー的なものも感じずにいられない。その最大の箇所は、物語の要として存在するが、作品のもつスピードが、決して「テンポよく」なのではなく、詩的な語り口のものに近いのではないか、とも思う。
 ああ、あの箇所についての論考、書きたい。何ヵ月後かに覚えていたら、蒸し返してみよう。
 そして、オルガ・キュリレンコの『故郷よ』を思いださずにいられず、「放射能に汚染された故郷」という2つの、スケールの違う物語での彼女の表情は、同じに見えて、深い。
 
 パンフレット。まるで、ちょっとした美術展のプログラムかと思えるほど美しい。キャストたちのインタビュー。個人的な印象では、モーガン・フリーマンが、最も、この映画を読み取っている気がする。
 レビューは映画評論家・添野知生が、メジャーSFの、本作と呼応する作品を想起しつつ作品論として。そして、プロダクション・ノートがものすごく精緻に展開。文字数ぎっしりだが、その文字構えさえも、ハードSFの様相も見せるこの作品ではふさわしく美しい。

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