« ラフでほろ苦い青春映画としての『サンダーボルト』 | トップページ | 架空の往年の恋愛映画の名作『熱波』 »

2013年7月18日 (木)

個人的映画音楽考察総括その2。  クールな中のキャッチーさ。あまりにCD化のないダニエル・パトゥッキについて

 ステルヴィオ・チプリアーニと違って、ダニエル・パトゥッキは、どうも、好きな人は好きなようなのだが、CD化がまだ全くといっていいほど、されていない作曲家である。まず、私自身の中で、なぜ、チプリアーニに告ぐフェイバリットな作曲家としてあげるほどになったのか、ということを振り返ってみる。
 多分、ひとつの理由として、「CARA SPOSA」なる作品のサントラの存在があると思う。いまだにこれもCD化はされていないが、チプリアーニとパトゥッキの共作で、LPには、チプリアーニとパトゥッキの曲が交互に並んでいる。
 80年代頭に、パトゥッキが担当した作品が立て続けに公開される。『ウイニング・ラン』『グレートハンティング84』『カランバ』『猛獣大脱走』。のちに、マカロニウエスタン『ロス・アミーゴス』を担当していることや、それ以外にも艶笑史劇などがディジットムービーズでCD化されたり、おそらく、ジャンルの守備範囲は狭くはない人なのだと思う。
 が、80年代の、あげた諸作のインパクトはあまりにも大きかった。『グレート・ハンティング』(として公開された、アントニオ・クリマーティとマリオ・モッラによる残酷ドキュメント)のそれまでの2作のサントラはすっかり愛聴盤化していた自分としては、続く84(別に続編というわけではないのだが、同じスタッフ、同じコンセプトによる新作)ということで、当初、日本でもLPが発売になる予定で楽しみにしていた。が、結局、84としてはシングル盤がリリースされたのみで、当初LPとしてリリース予定だった品番は、最新サントラ・ヒットみたいなアルバムに当てられたと記憶している。
 映画としては、『猛獣大脱走』は、先に作品を見ていたと思う。確か、すみやのリストでそのタイトルを見つけたときには、狂喜乱舞だったと思う。それほど、この作品は、サントラがかっこよかった。これは、なんといったらいいか、刑事アクション的にかっこいいフュージョンの、よりドスを利かせた感じだが、すぐに覚えられるほどのキャッチーなメロディも持っていた。
 80年代のパトゥッキの諸作は、まあ、作品の性格にもよるのだが、クールでハートボイルドなのだが、ベタなキャッチーさをしっかりともったメロディが常に、そこに乗るのである。残酷ドキュメントに美しいメロディねはセオリーではあったが、オルトラーニ的な澄み切った美しさじゃなくて、ニヒルさがまとわれていた。シンセの使いっぷりも、80年代的ホドホドさのモダンな感じがあった。
 そして、それらの作品を凌駕し、それまでのイメージを覆してオルトラーニ的美しさの作品も残していたことが明らかになり、パトゥッキ最大の名盤であるかもしれないのが『シャーク!』であり、これはちゃんと日本でLPが出ていた。
 が、これらはいずれも、CD化されていない。その鬱憤を晴らすべく、日本でカルチュア・パブリッシャーズから発売の「ヨーロピアン・シネ・スーベニール’70」で、CAM保有音源であるところのパトゥッキ『シャーク!』『カランバ』のテーマ的主要曲は収録された。『猛獣大脱走』『グレート・ハンティング84』は、まだコンピにも収録されたものがない。やはり、このあたりのジャンルも手がけてくれるのは、ディジットムービーズしかないかなぁ、と待ってはいるのだが・・・

 次は、何をとりあげるかと考えて、『ザ・チャイルド』(ワルド・デ・ロス・リオス)『エアポート77』(ジョン・カカバス)なども思うが、なかなか音源が揃わない作曲家さんたちなので、マイ・フェイバリット『ハリーとトント』や『ふたりでスローダンスを』『アンクル・ジョー』あたりから思いをはせてビル・コンティを取り上げてみましょう。

|

« ラフでほろ苦い青春映画としての『サンダーボルト』 | トップページ | 架空の往年の恋愛映画の名作『熱波』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92257/57818012

この記事へのトラックバック一覧です: 個人的映画音楽考察総括その2。  クールな中のキャッチーさ。あまりにCD化のないダニエル・パトゥッキについて:

« ラフでほろ苦い青春映画としての『サンダーボルト』 | トップページ | 架空の往年の恋愛映画の名作『熱波』 »