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2013年7月17日 (水)

固定された景色の中の起承転結『ステンプル・パス』

『ステンプル・パス』(イメージフォーラム・フェスティバル2013)
鑑賞7/14 横浜美術館レクチャーホール

 デレク・ジャーマン『BLUE』をやはり思い出さずにいられないが、語られる内容は、より具体的なものであり、かつ、時間軸に沿っての朗読(といっても、本当に淡々としているが)である。そこで、爆弾魔となる男が、森の奥の小屋に立てこもり、準備をしていく様子であるとか、この男の活動を終えるときの開放感的心持であるとかが、微動だにしないカメラアングルが見る単調だが複雑で変化に富む森の景色と、細やかな自然音が、男の心理状況を冷静に体験を持って説明しているように思われてくる。
 意外だったのは、このフィルムにも、なんとクライマックス的変化がある。夏の夕暮である。森の景色は変わらないはずが、日は沈むのだ。その前に、雪景色という、起承転結でいうなれば「転」がある。この「転」を踏まえて、夏の夕暮と共に、男の終焉だ。これらの映像と、自然音の彼方に、イマジネーションでの、あまりにも衝撃的な男の日常がある。あまりにも直接的「表現」を避ける、表現で、実験映画ではあるのだけれども、かなり具体的な鑑賞感をもつことになったと思う。『アンナ・マグダレーナ・バッハの日記』のミニマルさとは意味を異ならせる固定カメラだ。

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