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2013年7月 5日 (金)

キメぜりふの難しさ『欲望のバージニア』

『欲望のバージニア』
於・丸の内TOEI2

 ニック・ケイヴが脚本と知ってみているからか、すべてのセリフがヘタしたらキメゼリフ的なものに聴こえてきてしまう。邦題のイメージとは違い、つまりは、手段を選ばずに「取り締まろうとする」側と、それに抵抗する側の話である。
 ロック的な感覚といえば、いでたちはデフォルメ気味だが、アクションに関しては、必要最小限を保つというところだろう。実話であることの重視か、エグい表現にはもっていかないどころか、おそらく凄惨な現場であったろうシーンは、さらりと省略していたりする。
 とにかく、自分たちが主役を張れるあまりにも芸達者なキャストばかりを集めての群像劇だから、みんな、自分の役割分担(どこで出て、どこは出過ぎないか)の配分が絶妙すぎてかっこいい。
 そして、ドラマの集結としては、結局は、二組のカップルのラヴストーリーというところに落ち着かせる。女性の描き方が、いかにも男好みすぎるかもしれない、と思えるところは、これは最終的には、ファンタジーだな、娯楽映画だな、というところなのだろう。
 ヴォーカル(女性ヴォーカルはエミルー・ハリス!!)をフィーチャーしたナンバーをあっさり劇伴として使用していく。ここ、というところで一曲盛り上げる、といういかにもなドラマチックさは、しない。
 最終的には、ちょっと驚きのドラマなのだが、考えれば、ちょっと行き過ぎた演出も、中にはある、ということだ。

 オーソドックスなパンフレット。まず、禁酒法という時代についての論考を椎名誠氏が。そしてキャストの詳細をインタビュー付で。そしてジョン・ヒルコートとニック・ケイヴの詳細をインタビュー付で。なんといっても、ニック・ケイヴのスタッフとしての関わり方が異色なので、このインタビューは、他の映画とはちょっと違う。
 作品論は映画評論家の芝山幹郎氏で、往年の東映作品とダブらせて、日本の映画ファンにわかりやすく説く。そして、時代の解説とプロダクション・ノート。
 一応、プロダクション・ノート内に、言及する箇所はあるが、音楽コラムはあるべき作品なのだが、そこが残念。 

 ところで、自分としては、最も「キメゼリフ」として残ったのは、やはり、ジェシカ・チャスティンのあのセリフですね。

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