« 説明のつかない感情を説明すること『世界グッドモーニング!!』 | トップページ | 『はいかぶり姫物語』の長回しからいろいろと思うこと »

2013年8月22日 (木)

現役映画ファンの映画として突っ走った『ユー・ガッタ・チャンス』

『ユー・ガッタ・チャンス』於・神保町シアター(吉川晃司映画祭)8月16日鑑賞。

  『すかんぴんウォーク』でも、その片鱗は見せていつつも、少年のデビューまでの物語、という、比較的、自由にはできない大きな枠があって、その中での冒険だったと思う。
 が、おそらく、この2作目が最ものびのびといろんな遊びができるチャンス、それこそ、映画自体にとってもユー・ガッタ・チャンスなのは、自覚して作られていて、そういう映画だよ、という宣言が、冒頭のボンド・パロディに現われている。
 次々に繰り出される小ネタの数々と、派手でお金使いました感を出す展開。その中には、一作目、もしくは、ここまでの裕司をネタにしたギャグが次々炸裂。東宝での公開でありながら、明らかなる日活アクションへの敬意。そして、それは丸山昇一の、普通だったら、かっこつけすぎてどうしようもないセリフの数々が、それを吹っ切った世界の中では、ことごとくそれが快感となる、という、松田優作『探偵物語』などのハードボイルドに青臭さをスパイスとして追加した世界がそのままスライドして展開している。当時、まだ新作の『ストリート・オブ・ファイヤー』のガキガキ・シーンチェンジの早くもの模倣(これは、公開当時に、みんなで話題にした記憶がある)など、現在の映画においても映画ファンであることをしめす大森一樹のあくなき現役映画ファン宣言も心地よい。
 ネタのパッチワークによって作り上げられる長編は、森田芳光や滝田洋二郎の作品にも伺えたが、大森のそれは、最もはずかしいぐらいに、映画に根ざしていた。
 前作は巨匠、宮川泰が軽やかながら本格派な劇伴をつけて、そこがまたちょっと現代っ子映画ではちょっとない感じを聴かせたが、本作の大村雅朗のスコアは、完全にロック・インストのりの、若者発想のサウンド。その中で、愁いをおびたナンバーが意外に多く、これがまたしみてすばらしい。

|

« 説明のつかない感情を説明すること『世界グッドモーニング!!』 | トップページ | 『はいかぶり姫物語』の長回しからいろいろと思うこと »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/92257/58043343

この記事へのトラックバック一覧です: 現役映画ファンの映画として突っ走った『ユー・ガッタ・チャンス』:

« 説明のつかない感情を説明すること『世界グッドモーニング!!』 | トップページ | 『はいかぶり姫物語』の長回しからいろいろと思うこと »