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2013年9月 2日 (月)

映画完成後の、現実の厳しい展開コミで。『南の島の大統領』

『南の島の大統領』於・K's CINEMA(鑑賞8月25日)

 この長編ドキュメンタリーの特徴といえば、まず「モルジブの美しい風景を見せる映像は、ほぼ皆無」でかつ意外なのが「マレ他モルジブの町並みは見せない」ことだ。唯一、数回、首都機能のある島と思われる島の空撮があるが、これが、観光地のモルジブの風景とは別に、「ここはモルジブの事務所」とでも言わんばかりに、機能的な建造物が密集している光景を見る。こちらに、インパクトをそそられたりする。
あくまで、これはナシードという男の、政治家としての姿を見せるドキュメンタリーで、クライマックスにCOP15が来るように構成されている。
地球温暖化の問題そのものは、自分は勉強不足で、それについての興味というより、「モルジブすなわち観光国の政治家」とはどんな人間なのか、のドラマを見たかった興味がいちばん。そして、他の国とは違い、この国固有の悲しい歴史が明かされるわけだが、そこで、他国、観光する側の人間が感じ入るのは、「自分たちが訪ねている島は、どんな歴史があるのか」ということなのだろう。そこから、世界の現状を知るきっかけとする。
小国の歴史を調べることは、決して、その国だけの歴史ではすまないがために、国際史の、ある面に出会うことができる。

それより、驚くのは、このナシード氏は、2012年に大統領の座を退いていた、ということだ。この映画自体は、2011年に完成しているので、もっと彼を盛り立てよう、的な意味合いがあったに違いない。が、翌年、予期せぬ状況となり、今年の9月に選挙があるという。その「返り咲くかもしれない(返り咲いてほしい)」というタイミングゆえの日本公開なのだろう。「応援しようにも、その座に今、彼はいない」という状況からは脱せるかも知れないタイミングということだ。

パンフレットは存在する。青山学院大学の小島教授が、COP15を中心に、概況を解説、シナモンハウス代表取締役の阪本時彦氏がモルジブに絞っての概論を、土井敏邦氏と海南友子氏が映画の、彼の描き方を中心に論ずる。

映画として観るには、現実問題すぎて、彼を題材に、実録映画が撮られれば、もう少し冷静に見ることができるのかもしれない。

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