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2014年3月15日 (土)

サスペンス・ホラーとは異なる世界へ。『パズル』

『パズル』於・ヒューマントラストシネマ渋谷

 表面にある残酷な事柄は、様式美たっぷりに描かれ、本番直前までアイデアを煮立たせて、感情の波にその激しいため息を吐き出すかのように、緩急をリズミカルに作ったテンポで映像は進んでいく。
 カウントダウン的な構成と、それでいながらそれに縛られない一見自由なリズムは『ダラスバイヤーズ・クラブ』に似ている。
 音響と、有田尚史による新しい感覚のリズムの実験への敏感さを感じさせる美しいノイズすれすれの音楽が、その疾走する映像にかぶさり、サスペンス・ホラーという世界とは少し違う場所へ誘う。
 ラスト近くの夏帆の疾走シーンと、エンドクレジットがまさしくこの映画のクライマックスのように機能していき、「痛い」と隣り合わせの「美しい」感覚が、デジャヴュ的な近過去サスペンス・ホラーへの思いのかけらとミックスする。
 園映画とも中島哲也「告白」とも流れる感情に接点はありそうだが、「パズル」が味わせる、ホラーなはずなのに、甘い夢のような後味がかすかでなく残る。これは、過去には体験したことのないものだ。

 パンフは、なんと発売されていない。

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